PICシンボルとは

PICとは、「Pictogram(ピクトグラム)」「Ideogram(イデオグラム)」「Communication(コミュニケーション)」の頭文字をとった名称です。ピクトグラムは具体的な目に見えるものや形のあるものを、イデオグラムは動きや気持ちといった抽象的なことを表します。これらのシンボルを使ってコミュニケーションをもつという意味です。

PICシンボルは、ことばを話したり読んだりすることが難しい人のために、1980年にカナダの言語聴覚士Subhas C. Maharaj(サバス・マハラジ)氏によって開発されました。AAC(補助代替コミュニケーション)と呼ばれる方法のひとつで、音声や文字のかわりにシンボルを指さしたり、相手に渡したりしてコミュニケーションをとります。

マハラジ氏は、文化ごとに異なるPICシンボルを「シンボルの方言」と呼び、多様性を尊重しました。その考えにより、PICは各国の文化に合わせて発展し、今では20か国以上で使われる国際的なコミュニケーションシンボルです。

日本では、1990年に特別支援学校教員であった藤澤和子氏、認知心理学の研究者井上智義氏、清水寛之氏、高橋雅延氏らが日本での活用に向けた実践・研究を始め、1995年に日本の文化に適用したPICシンボルと活用マニュアルを出版して本格的な普及がスタートしました

 

ピクトグラムとイデオグラムの例

ピクトグラム

イデオグラム

PICシンボルのデザイン

デザインコンセプトは「White & Black & Simple(白と黒とシンプル)」です。黒い背景に白いシルエットでシンプルに描かれたピクトグラムは、一目で意味が伝わるわかりやすさと美しさを大切にしています。

基本的に色は使いません。たとえば赤いセーターを描くと「赤」だけが印象に残ってしまい、他の色を想像しにくくなるため、あえて色を使わず「白いかたち」で表現しています。色があった方がわかりやすい人には、「白いかたち」に色を付けることができます。色つけの自由があるといえます。

開発者のマハラジ氏は、「特別なニーズを持つ子どもたちが必ずしも同じ“見る力”を持っていなかったので、図を白、背景を黒にする方法がもっとも伝わりやすいと考えた」と語っています。PICは誰にとっても見やすく、混乱の少ないデザインとして工夫されているのです。

「White & Black & Simple」(白と黒とシンプル)

PICシンボルの特徴

1.見やすくてわかりやすい

PICシンボルは、黒字に白いシルエットでコントラストが強く、多様な見え方(弱視、色覚異常など)の人にも見えやすいデザインです。遠くからも認識しやすいため、学校の教室表示や駅、空港などの公共の場でも見かけるような誰にとってもわかりやすい「ユニバーサルデザイン」となっています。年齢や障がいのある無しに関係なく、安心して使えるシンボルです。

2.子どもから高齢の方まで年齢を選ばない

年齢を問わず子どもから高齢の方まで幅広く使えるデザインです。人生のさまざまな時期に長く安心して使えます。年齢や生活に合ったシンボルを使うことで、その人らしさや尊厳も大切にできます。

3.世界中で使われているインターナショナルシンボル

言語に関係なく気持ちや情報を伝えられる「視覚のことば」です。世界中の人たちのコミュニケーションを助ける共通の記号です。

PICシンボルとJIS絵記号

JIS絵記号は、2005年に経済産業省が定めた「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)」に基づく、日本工業規格(JIS)です。JIS絵記号は、PICシンボルを基にしてデザインされました。日本PIC研究会もその開発に深く関わっています。

 

障がいのある方や高齢の方、外国の方など、さまざまな立場の人が安心して使えるユニバーサルデザインとして、デザインのルールや描き方が定められ、約300種類の絵記号が作られています。PICシンボルと一緒に使うことができます。

 

共用品推進機構のHPからダウンロードして利用することもできます。